皮下脂肪について考える

皮下脂肪とは、皮膚の下に位置する脂肪組織を指します。脂肪は人間を含む哺乳類をはじめ、多くの動物にとって重要な栄養素として利用されており、大抵の場合、摂取される動植物の内部に含まれています。炭水化物、タンパク質と並び「三大栄養素」のひとつに数えられていますが、
単位量あたりの含有カロリーが非常に高く、生物にとっては高効率なエネルギーの貯蔵庫となっているのです。
人間の体内で、脂肪は主に食物から摂取するか、あるいは摂取した炭水化物から合成することで、肝臓や脂肪組織に貯蔵される仕組みになっているのですが、生命活動に利用される際は比較的後回しになることが多い栄養素です。例えばヒトの成人では、何もせずにただじっとしているだけで、1日おおよそ1600キロカロリーのエネルギーを消費しています。つまり特に運動などの活動をしなくても、寝ていても、息をするだけで、生きているだけで、エネルギーを消費しているというわけです。この生命体として「自動的に消費されてしまうエネルギー」を基礎代謝と呼んでいますが、食事などによる日々のエネルギー摂取が、この基礎代謝エネルギー量にすら満たない場合、まず筋肉が分解され、タンパク質として利用されることになり、その後脂肪がエネルギーとして使われ始めるのです。つまり単純に考えると、絶食などの急激で過度なダイエットを行った場合、脂肪が落ちる前に筋肉が衰えて基礎代謝が低下してしまうという現象が起こります。人体は栄養の補給を絶たれると、自己防衛本能から基礎代謝するエネルギー量を減らそうとする傾向があるのです。
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このように、人体のエネルギーの蓄えの中で、切り札として活躍する皮下脂肪ですから、通常水さえあれば1ヶ月程度はその人を延命させることが可能です。ちょうど冬眠するクマが何日も水以外を摂取しなくても平気なように、人間も「ただ生きるだけ」ならば皮下脂肪によってかなりの長期間、水だけで生きていけるのです。
しかし現代人にとって、皮下脂肪が生き延びるための切り札として使われることは、遭難などの特殊な状況でないかぎり、まずあり得ません。逆に現代人を悩ませる肥満体質や脂質異常、あるいはメタボリック症候群をはじめ、動脈硬化や心臓疾患リスクなどの原因とされ、目の敵ともなっているのです。
高効率なエネルギー貯蔵機能を持つがために、かえって悪役となってしまった皮下脂肪は、なんとも皮肉な運命と言えます。